世界中で品薄のニトリル手袋~生産ラインを増やせない3つの理由

○世界中で品薄のニトリル手袋~現在の状況について

2020年からニトリル手袋は世界的な品薄が生じています。

生産している国や企業で新型コロナウイルス感染症が蔓延し、十分に供給できていないことがその背景にあります。

今後、ニトリル手袋はいつ十分に供給されるのでしょうか。現在の状況についてご紹介しましょう。

・世界中で品薄のニトリル手袋~現在の状況について

ニトリル手袋の世界的な品薄は、その大きな理由として、世界で蔓延している新型コロナウイルス感染症の存在があります。

新型コロナウイルス感染症は、感染力がとても強く、3密による飛沫感染が主な原因になると考えられています。

そのため、マスクの供給量が増え、一時的に品薄になったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。

医療機関では医師や看護師など医療従事者に対する感染を防ぐために、マスクだけではなく医療用ニトリル手袋も活用する場面が増えました。

そのため、生産されているニトリル手袋は医療で活用されるために優先的に供給されるようになったのです。

新型コロナウイルス感染症による品薄の理由として、生産国での企業でクラスターが発生したことも挙げられます。

ニトリル手袋は主に東南アジア諸国において生産されていることが知られています。

もともと天然ゴムでの手袋の生産が盛んに行われていたのですが、近年ではその生産ラインを活用して品質の良いニトリル手袋の生産に力を入れるようになったのです。

2020年に新型コロナウイルス感染症が蔓延してからは、東南アジア諸国の工場に世界中からニトリル手袋を求めるようになりました。

医療機関において品薄の状態が生じるようになったからです。

しかし、東南アジア諸国でも新型コロナウイルス感染症は蔓延し、世界市場の多くのシェアを獲得しているマレーシアの企業でも2度にわたるクラスターが発生しました。

そのため、生産ラインをストップせざるを得ない状況となってしまったのです。

新型コロナウイルス感染症によって、世界のあらゆる地域でかなりのダメージを負っていますが、ニトリル手袋を生産する企業においても、例外ではありません。

・手袋を納入する梱包工場もストップしている

現在の東南アジア諸国の新型コロナウイルス感染症の状況をみると、ロックダウンは解除されているようです。

ただし、わが国でも同じことが言えますが、以前のような状況に戻るには、今なお時間が必要になるような状況だと言えるでしょう。

特にマレーシアでは、ニトリル手袋工場において2度のクラスターを発生させてしまった状況から、工場の稼働は限定的になっていることが知られています。

そのため、できる限り供給量を増やそうと、供給量の多い種類を優先的に生産することや24時間での生産対応にするなど、あらゆる取り組みが行われています。

しかし、ニトリル手袋の供給は、手袋自体を生産すればいいというものではありません。

50枚や100枚ずつなどに梱包することが必要になりますし、梱包するための箱なども用意しておかねばなりません。

しかし、この梱包工場自体が新型コロナウイルス感染症の影響を受けてストップしている状況が伝えられています。

そのため、思うように生産ができない状況だけではなく、生産された手袋を出荷することもままならない状況が続いているのです。

・医療機関に優先的に供給されている

ニトリル手袋はほかの使い捨てゴム手袋と比べて、とても品質が良く、使い勝手が良いことが知られています。

そのため、あらゆる作業において利用されるシーンが増えました。

ニトリル手袋の素材は「ブタジエン」と「アクリロニトリル」といった有機化合物から作られており、薄くてソフト、しかも耐久性の高さが特徴です。

薄くて柔らかな素材であるために、指先や手のひらの感覚が必要な作業に適していますので、医療での細かな作業において重宝されています。

また、摩耗や引き裂きに強く、耐熱性や耐寒性もあるために、感染予防としても利便性が高いのです。

そのようなことから、わが国においても優先的に医療機関に納品されるようになっていて、なかなか一般用として流通しない事態となっています。

○ニトリル手袋の生産ラインが増やせない3つの理由

  • 生産ラインを増やすには多額の投資が必要
  • 多量の水を供給できる広い場所が必要
  • 高い技術とノウハウが必要

現在、世界のニトリル手袋の生産ラインでは、十分稼働できていない状況があります。

そのような状況の中で、「生産ラインを増やして供給量を増やせばいいのではないか」と考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、ニトリル手袋においては、簡単に生産ラインを増やせない理由がいくつか存在します。

その理由を3つにまとめてみましたので、順番にお伝えしていきましょう。

・生産ラインを増やすには多額の投資が必要

ニトリル手袋の生産ラインが増やせない最大の理由として、多額の投資が必要になるということがあります。

ニトリル手袋の生産ラインでは、コンベアに手型が固定されており、この手型に原料となるニトリルゴムを塗布して生産していくことになります。

コンベア上には数百個にも及ぶ手型が固定されており、効率よく生産できるようになっています。

つまり、ニトリル手袋の生産ラインを増やすためには、このような数百個もの手型を設置したコンベアを用意しなければならないことになります。

それだけでも多額の投資が必要になることが分かるでしょう。

わが国の政府は、現在のニトリル手袋の品薄状態を改善するために、生産能力の改善に取り組んでいます。

2020年7月、その政策を受けた住友ゴム工業は増強に対応するために、生産設備に1億5000万円を投資すると発表しています。

具体的には、マレーシアの工場での生産ラインを現状の1ラインから2ラインに増やし、現状の2倍である月間200万双ものニトリル手袋の生産に対応できるようにします。

これは政府からの要請もあって実現できるものではありますが、コストパフォーマンスを考えたときに、やはり容易にできないことは明らかです。

この新しい生産ラインは医療用として対応されるものですが、今後、十分な供給ができるようになった際には、この生産ラインが不要になってしまう可能性もあるからです。

・多量の水を供給できる広い場所が必要

ニトリル手袋の生産ラインをわが国にも作ってはどうかと言う意見があります。

国内の手袋メーカーである「ショーワグローブ」は、香川県にニトリル手袋の製造ができる工場の建設を公表しています。

ただ、この工場は2023年4月ごろに稼働を始める予定となっているために、現状の品薄状態を改善させる最善の方法とは言えないのが現状です。

なぜ今までに国内にも生産ラインを作らなかったのかというと、上記の通り、コストパフォーマンスの問題もあったのですが、同時に多量の水を供給できる広い場所が必要だという問題があったからです。

ニトリル手袋の生産ラインでは、手型にニトリルゴムを塗布して、その後に薬剤や水への浸漬、乾燥などを繰り返していく作業工程が必要となります。

その作業工程において、十分な水が欠かせません。

しかもニトリル手袋はパウダーフリーとなっており、生産後には純水においてしっかりと洗浄を行っていますので、この際にも多量の水を必要としているのです。

先ほども上記でお伝えした通り、1ラインにつき、手型が数百個ほど固定されているコンベアが必要になることから、広大な土地も必要となります。

多量の水と広大な土地を国内で見つけることは、それほど容易なことではありません。

国内の土地であればコストの面でも考慮することが必要となりますので、国外に工場を設置しているという現状があります。

・高い技術とノウハウが必要

ニトリル手袋は薄さと強度を持っている品質の高いゴム手袋ですが、そのような製品を安定的に供給するためには、高い技術とノウハウが必要となります。

流れ作業に高い技術とノウハウが必要になるのかと疑問に思うかもしれませんが、生産ラインでは手作業で作られています。

ニトリル手袋の手型にニトリルゴムの原料を塗布し、乾燥させるという工程を何度も繰り返します。

これはディッピング方式(浸漬成形)と呼ばれている生産方法です。

手型をニトリルゴムの原料入った浴槽に浸漬させ乾燥させていきますが、この生産スピードを早めてしまうと、強度の低い薄い手袋になってしまいます。

また、生産後には洗浄工程も必要となります。

生産ラインにおいて不純物が付着してしまいますので、これらをしっかりと洗い流し、より制度の高いニトリル手袋に仕上げていきます。

このような工程を見ても、工場や生産ラインを作ってしまえば、すぐに供給できるというものではないことが分かります。

○中国製ニトリル手袋の安定した供給実績

東南アジア諸国でのニトリル手袋の供給が元に戻らない状況で、中国製ニトリル手袋については、安定した供給量を保ち続けていることが知られています。

すでに世界各国に対して、数千万枚程度の供給の実績を持っています。

この中国製ニトリル手袋は、ジュノー合同会社が販売している製品であり、新型コロナウイルス感染症対策の製品を軸にして、自社ブランドの製品を提供しています。

安定しているのは供給量だけではなく、価格自体も安定しており、納品もまったく問題ありません。

品質においてもわが国の食品衛生基準に適合しているもので、一般財団法人 食品環境検査協会の試験成績証明書を取得しています。

世界的なコロナ禍において救世主であると言われており、東南アジア製から転換している企業もどんどん増えている状況です。

もともと中国製のゴム手袋は、世界シェアでも3位を獲得していることからも分かる通り、高い技術を有していることでも知られています。

世界各国の医療基準を満たしていることからも、中国製ニトリル手袋の品質が理解できるのではないでしょうか。

中国国内の新型コロナウイルス感染症の蔓延は、うまく封じ込めができている状況ですので、今後も供給は問題ないと考えられています。

○まとめ

ニトリル手袋の生産ラインを増やすことはなかなか容易ではない現状がお分かりいただけたかと思います。

東南アジア諸国でのニトリル手袋の供給は、少しずつ改善されてきています。ただ、現状ではまだまだ見通しが立たないのが本音です。

マレーシアで生産ラインを増やす計画もありますが、医療用としての対応となっていますので一般に供給されるのはなかなか難しい現状があります。

そのような状況の中で、ジュノー合同会社が提供する中国製ニトリル手袋は、すでに数千万枚の供給実績があり、今後も安定して供給可能となっています。

高品質な製品となっていますので、今後も供給量は増えるのではないかと期待されています。

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ニトリル手袋研究所

ジュノー合同会社は、自社ブランド製品を持つ総合衛生メーカーです。
厚生労働省登録検査機関 一般社団法人日本食品検査 輸入食品等試験成績証明書取得